体外受精や顕微授精は、受精がうまくできずに妊娠しない方に対してはとても有効な治療法です。しかし体外受精や顕微授精でできた受精卵(胚)を移植しても、繰り返して着床しない患者さまがおられます。このように形態が良い胚でも繰り返して着床しないことを「着床障害」といいます。
着床の課程はとても複雑であるため、着床障害の原因をはっきりさせることはとても困難です。着床しない原因は、胚側にあるのか、子宮側にあるのか、両方にあるのかですが、現在のところ着床障害の原因として下記のようなものが考えられており、それぞれに対する治療があります。
着床障害の検査は、たくさんあり、エビデンスのレベルも高い検査・治療もあれば、まだ研究段階のものもあります。高額な費用の検査もあります。着床しなかったらすぐにすべての検査を行う必要があるのではありません。当院では生殖医療の専門医が、それぞれの患者さまの状況に応じて、個別に必要と思われる検査や治療を提案させていただいております。外来にてご相談ください。
胚の染色体異常が原因で着床しないことが多いのですが、胚の染色体異常を「治す」治療は存在しません。現在、着床しないことを繰り返したり、初期流産を繰り返す患者さまに対して、胚の染色体の数に異常がないかどうかを調べ、正常染色体胚を選んで移植するという「着床前遺伝学的検査」が、有効な治療法になるかどうか日本で臨床研究が行われています。当院は着床前診断実施施設として日本産科婦人科学会から認定されていますので、ご検討されている方は外来にて担当医にご相談ください。
良好胚を移植しているのに、繰り返して着床しない反復着床不成功の方に対して行う検査です。
着床障害の原因には、
などがあり、それぞれに治療が存在します。しかし、それらの治療を行ってもなお着床しない患者さまがおられます。近年、着床障害の検査の一つとして子宮内膜受容能検査(ERA)が注目されるようになってきました。
子宮内膜受容能検査(ERA)とは、胚と子宮内膜の「着床の窓(Implantation window)」がずれていないかを遺伝子レベルで調べる検査です。子宮内膜はいつでも着床の準備がされているわけではなく、通常は子宮内膜に胚が着床できる状態になる(着床の窓が開く)のは黄体ホルモン投与後5日目です。ところが、この着床の窓が通常より早かったり、遅かったりする方がおられます。このような方には従来通りに黄体ホルモン投与後5日目に胚盤胞を移植しても着床はおこりません。着床障害を繰り返す方に対して子宮内膜受容能検査(ERA)を行い、着床に適切な時期を調べ、その時期に移植を行うと妊娠が成功することが近年報告されています。
健康な子宮内膜には乳酸桿菌が豊富に存在します。EMMA検査は子宮内膜の細菌叢を評価し、細菌バランスを整えるための最適な治療を推奨することで、妊娠の可能性を高めます。
慢性子宮内膜炎の原因菌を検出し、適切な抗生物質と治療法を提案します。
EMMA/ALICEの検査方法は、外来にて、ERA検査と同様にカニューレというチューブ様の器具で子宮内膜の組織を少量採取します。採取は5分程度です。組織採取には少し痛みが伴います。
ERA検査と同時に行うこともできます。その場合はEndomeTRIOといいます。
ERA一式(ERA費用、薬剤料、超音波検査費用、採血検査料含む) | 182,130円 |
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EMMA・ALICE | 66,000円 |
EndomeTRIO一式:ERAとEMMA・ALICEを同時に行う場合 (EndomeTRIO費用、薬剤料、超音波検査費用、採血検査料含む) |
220,630円 |
ERA、EMMA・ALICEは検体採取が難しいため、稀に検体不良にて再検査が必要になる場合があります。その場合は薬剤料、超音波検査費用、採血検査料のみ費用が発生します。
PRP(自己多血小板血漿)とは、患者さま自身の血液から高濃度の血小板血漿を作成し、子宮や卵巣へ注入する医療です。PRPは細胞の成長を促す豊富な成長因子を放出し、組織の修復、損傷部位の血管新生などを促すことが知られています。これまで、整形外科など多数の疾患で導入が試みられてきました(大リーガーの大谷翔平選手も肘の損傷時にこの治療を受けられました)。近年、不妊治療領域においても、卵子が少ない方や宮内膜が薄く着床しないことを繰り返す方に対してPRPを用いた場合の有用性が報告されています(Aging 2022 Mar 22;14(6):2513-2523. JBRA Assist Reprod 2022 Jan 17;26(1):13-21.).。
PRPは、第2種再生医療に該当し、厚生労働省に届出し受理された施設でのみ施行が可能です。当院は厚生労働省に認められた再生医療(PRP)提供機関です。
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不妊治療・生殖医療婦人科、婦人科
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