着床前遺伝学的検査(PGT-A/PGT-SR)とは、生殖補助医療において子宮内に移植する前の胚の染色体数に異常がないかどうかを調べる検査です。日本産科婦人科学会の認可施設において行われており、当院でも学会の基準に従い「着床前遺伝学的検査(PGT-A/PGT-SR)」を行っています。
この検査は希望されるすべての方が行える検査ではなく、下記条件を満たす方が対象となります。
また、PGT-A/PGT-SRの検査は、採卵から検査、胚移植まですべて自費診療での治療になります。
着床前遺伝学的検査(PGT-A/PGT-SR)とは、着床前診断のうちの一つで、受精卵の段階で染色体の数の検査を行うものです。正常な胚の染色体は両親由来の染色体が1本ずつ受け継がれ2本でペアになっていますが、染色体異数性とは、胚の染色体ペアが2本でなく、1本や3本またはそれ以外の本数となることをいいます。体外受精や顕微授精治療では、妊娠が成立しても初期流産、反復流産となることは決してまれではありません。初期流産の70~80%は染色体の異数性が原因であると報告されています。また、日本産科婦人科学会が先に行った試験的研究では、PGT-Aを実施せずに移植した場合の妊娠率は約30%であったのに対し、PGT-Aを実施した胚の移植あたりの妊娠率は約70%と高い結果になりました。そのため、PGT-Aを行い、異数性のない胚を選択して移植ができれば、流産率の低下、生産率の向上など治療成績の改善が期待されます。
通常どおり採卵し、体外受精または顕微授精を行います。受精卵を胚盤胞まで育てます。ここまでは通常の体外受精や顕微授精治療と変わりません。
PGT-Aを行う場合は、胚盤胞から一部細胞を採取し、NGS (next generation sequencing)という検査方法を用いて全染色体の異常の有無を検査します。この検査では、染色体数の過不足(異数性)やご夫婦の染色体構造異常に起因した胚の染色体不均衡型構造異常を検出します。ただし、微細な染色体異常、均衡型構造異常、倍数性異常、遺伝子異常などは検出できません。着床前検査の解析には2~4週間かかるため胚は一旦凍結保存し結果を待ちます。解析結果は外来で医師より説明します。移植の際は、移植可能とされる胚を1個だけ子宮に移植します。
【胚盤胞から一部細胞を採取しているところ】
PGT-A/PGT-SRをご希望の方は、まず外来にて医師にご相談ください。外来にて説明書をお渡しいたします。それをよく読んでいただき、さらに日本産科婦人科学会が提供しているPGT-A/PGT-SRの説明動画(2種類)をご視聴いただいた後、当院で遺伝カウンセリング(5,500円)を受けていただきます。検査するに当たっては、日本産科婦人科学会の定める動画のご視聴についてのチェックシートや当院のPGT-A同意書へのご署名などが必要となります。
不妊治療・生殖医療婦人科、婦人科
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